2017年5月27日 晴れの土曜日。
大阪の肥後橋にある「タカムラワイン&コーヒーロースターズ」にて
DRAW A LINE のトークイベントが行われました。
このページでは「モノを持たへん時代に、何つくる?」と題されたこのトークイベントの模様を、できる限りそのままお伝えしたいと思います。
もくじ
1. 平安伸銅工業の歴史
2. TENTについて
3. 老舗メーカーとデザイナーの出会い
4. アイデア出しとネーミング
5. 改善とイノベーションとの違い
6. オワコンから広がる可能性
7. モノを持たへん時代に、何作る?
本日はみなさまお集まりいただきありがとうございます。
私たちの新しいブランド DRAW A LINE は、6月に照明シリーズの発売も迎え、すべての第一弾のラインナップが発売になりました。
本日は、その発売を記念しまして、私たち老舗のメーカーと、デザイナーとが組んで、どのようにものづくりをしてきたかという経緯を、少しではありますが、紹介できたらなと思っています。
私たち自身も成功体験があったり、上段から構えるというのではなく、同じような悩みを持っているみなさまと知識経験を共有できたり、一緒に課題を解決していくきっかけになればと思い、このような場を作らせていただきました、本日はよろしくお願いします。
岩崎達也(イワサキタツヤ)※以下、岩崎さんと記載
司会進行を務めます岩崎達也と申します。よろしくお願いします。まず今日は私がいったい何者かということから簡単に触れていきたいと思うんですけど。
私はこのプロジェクトに直接関わっているわけではなくて、要するにTENTというプロダクトデザインユニットの、ファンなんですね。
普段は京都に住んでいて、マガザンキョウトという小さいホテルを運営していまして、そこでTENTさんの商品を取り扱いして販売しております。そのご縁で今日呼ばれたのでは、と思っております。
僕もこのプロジェクトにすごく興味がありますので、いろんなエピソードを引き出していけたらなあと思っております。
岩崎さん ではあらためて、コンセプトについて、DRAW A LINEのデザイナーであるTENTさんから説明をお願いします。
TENT青木 まずはこちらのムービーを見ていただきたいです。
TENT青木 このムービーのように、空間の中に、1本の線を描いたかのような。これまでにない新しい概念の突っ張り棒をつくりました。
TENT治田 その1本の線をベースに、棚をつけたり、フックをつけたり、照明をつけたり。この会場にもあるんですけど、照明をつけて、ベッドサイドやソファの横に置くと言う展開も考えられると。
そういった様々なアクセサリーを含んだ、システム全体として「1本の線からはじまる新しい暮らし」という言葉をコンセプトに掲げています。
岩崎さん ありがとうございます。次に平安伸銅工業さんに、どういう背景でこのプロジェクトを立ち上げるに至ったかと言うのを、会社紹介も含めてご話いただければと思います。
1.平安伸銅工業の歴史
竹内香予子(タケウチカヨコ)※以下「香予子さん」と記載
突っ張り棒って、どこの家にもあって、使われている方もたくさんいらっしゃると思うんですけど。私たち平安伸銅工業は、こういった突っ張り棒を主に作っているのと、鉄のパイプとプラスチックの部品を組み合わせた、簡易式の収納用品というのを強みにしている、ホームセンターさんなどに商品を卸しているメーカーです。
この会社、実はけっこう歴史が長い会社でして、1952年創業で。当時に作っていたのはまた別のものなんですけど、一貫してアイデアと技術で暮らしを豊かにするというのをテーマにモノづくりを行ってきた会社になります。
こちら、1979年の突っ張り棒が出だした頃の新聞の記事になります。こんな画期的なものが生まれましたが、さてどうなるでしょうか?ということが書いてあります。
もともとは、アメリカでカーテンポールとして使われていたものを日本に持ち込んで。日本の都市化が進んだ生活様式に合うように、収納用品として、ネジクギ使わずに収納が増やせるというように用途提案をしまして、新しいマーケーットを作ったと言う歴史を持っています。
この突っ張り棒を発売してからめちゃめちゃ売れたんですね。これは1990年代の社員旅行の写真なんですけど、社員みんなでハワイにいきまして。
突っ張り棒の大ヒットのおかげで、毎年かならず海外に社員旅行にいけていたという、そんなバブっていた時代もありました。
TENT青木 首にお花をかけてアロハって、絶好調感がすごいですね
香予子さん 私はこの会社の2代目の経営者の娘として育ちまして、実は新聞記者をやっていたので、もともと会社を継ぐという予定はなかったんですけど、縁あって、2010年に入社することになりました。
そのときのうちの会社の状況がどうだったのかという事例なんですけど、左側に見えているのが、一番イケイケのときのカタログの表紙です。
整理収納のホープと言ってしまっているくらいです。自分たちが伸びていると言う自負があったんだと思います。
それに対して、右側にある2010年のカタログっていうのは、、、、あれ?みたいな感じの状況になっていたんですね。
TENT青木 2010年でこれは、、なかなか味わい深いですね。
香予子さん 中身を見て見たらもっと一目瞭然で、全く商品が変わっていないんですね。
「20年間何も変わってないやん!しかも、なんか知らんけど、自分の欲しいものが、自分の会社で作ってないし」って。
このままではいけないんじゃないかって、すごい危機感を抱いたってことが、会社の改革をスタートするきっかけになっています。
その後、となりにいます竹内一紘(タケウチカズヒロ)、私たちは夫婦なんですけど、彼が会社にジョインしてくれて2人で経営を改革していこうということになりました。
そんなことがあったんですけど、一貫して、老舗とベンチャーの両方の良さを持つと言うことをテーマにしていまして、老舗ならではの技術の積み重ねであったり、信頼であったりを生かしながら、若いメンバーも交えて新しいものを作っていくということを目指してやっております。
岩崎さん ありがとうございます。このような会社さんが、TENTと出会って、このプロジェクトが立ち上がっていくわけなんですけれども、次は、TENTがいったいどんなユニット、デザイナーなのかを教えていただけますでしょうか
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