ケンケン TENTに入社してから三年間。ひたすら発送作業をやり続けましたよ。
ケンケン
TENTのデザイナー
アオキ 発送だけじゃなく、デザインのお仕事も大変なのにね。申し訳ない。いつもありがとうございます!
アオキ
TENTの共同代表・デザイナー
ハルタ お世話になっております。
ハルタ
TENTの共同代表・デザイナー
ケンケン見聞録 02
このコーナーは、TENTに2017年から参加したデザイナーであるケンケンが、治田(ハルタ)と青木(アオキ)に、昔の仕事について根掘り葉掘り聞くコーナーです。
ケンケン 「発送力が上がると、自然と発想力も上がるから」「梱包発想はデザインの基礎だから」っていう二人の言葉を信じて、ずっとやってきました。
アオキ いや、本当にめっちゃくちゃ発想力あがってるよ!もちろんデザイン力も!
ハルタ 上がってる、間違いない。
ハルタ それが発送作業のおかげかどうかは、わからないけど。
ケンケン もともと自分たちで商品の販売までやっちゃうっていうスタンスがいいなあと思ってTENTに入社したので、覚悟してたことではあったんですけど、実際にやってみると想像以上に大変なことだなと。
僕が入社する前は、二人だけでやってたんですよね?
アオキ そうですねー。だいたい午前中は発送作業して、午後がデザイン作業してっていう毎日でした。
ハルタ 毎日バタバタしてましたね。
ケンケン 今は僕がその状態なんですけど、そもそもなんでそこまでして直販ストアをやってるんですか?
ハルタ もともとTENT結成前から、クライアントワークだけじゃなくオリジナル商品を作ってメーカーみたいな動きもしていきたいという思いはあったんですけど、あくまで作ったものを実店舗で販売してもらうっていうのが前提だったんです。
でもちょうど自社商品の発売の目処がたったタイミングでSTORESとかが出始めて。
アオキ そうですね、2013年ごろでしたっけ。なんせ簡単だし無料で使えるしってことで、ためしに登録してみたのが始まりで。
ハルタ いろんな実店舗に販売してもらう中で、自分のWebストアも細々とやってみようかって。軽いノリでしたね。
アオキ 当然、誰も知らないWebサイトだったので、スタートして数ヶ月は何も売れてないという状態で。
でもある時にBOOK on BOOK がNHKの番組で取り上げられたのをきっかけに、いろんなメディアにBOOK on BOOK が紹介され、そこから一気に。
ハルタ 3日間、電話対応と発送作業しかできなくなりましたね。
アオキ そうそう、お年寄りの方からの問い合わせは長電話になったりしましたね。
ハルタ お孫さんの話を聞いたりとかね。
アオキ ありましたねー。
でも、いろいろ大変ではあったんですけど「これこそが僕のやりたかったことだ!」とも思えたんですよね。それまでメーカーの中でプロダクトデザインしか担当していなかったから、視野が一気に広がった感じがして。
ケンケン なるほどー。ところでBOOK on BOOK とかHINGEなんかを自分たちで売るのは、なんとなく自然な流れのような気がするんですけど
ハルタ 自分たちで企画して工場に発注して全在庫抱えてる商品だもんね。
ケンケン はい。一方で、象印さんのSTAN.シリーズとかみたいないわゆるクライアントワークとして関わった商品もストアで扱いはじめたのは、何か考えがあったりするんですか?
ハルタ クライアントワークの商品をストアで扱いだしたのは、最初はAKAISHIさんのタッチドッグからだったと思うんですけど。
ハルタ そこからNuAnsの商品とか、だんだん増えていきましたね。
ハルタ 象印さんのSTAN.に関しては
「家具とか日用品とか雑貨とかを販売してるデザイナーさんは結構いるけど、家電まで扱うデザイナーさんは見たことがないから、もしSTAN.を扱うことができたら面白いよね」というのが動機ではありますね。
アオキ 僕はタッチドッグを開発してた頃から「製品をどうやって伝えたいのかって、メーカー、お店、デザイナー、それぞれの立場によって違うんだな」って気づき始めて。
ケンケン どういうことですか?
アオキ メーカーの多くは、それまで付き合いのある卸業者や店舗からなる「販路」というものが既にあって。そこにいかに当てはめていくか、位置付けていくかというのが、一番重要なんですよね。
ハルタ そうすると例えば、既存製品とスペックを比較するという伝え方がわかりやすいですね。
ケンケン なるほど。たしかに過去製品や他社との比較とか、よく見かけますね。
アオキ そしてお店としては、やっぱり自分の店が魅力的になってほしいわけだから、店として伝えたいことありきで、そこに製品を当てはめたい。
ハルタ わかりやすく言えば、価格が勝負なお店なら、価格を大きく打ち出したいとか。
ケンケン たしかに、そうですね。
アオキ じゃあ僕たちデザイナーや開発者はどうかって言うと、やっぱりモノそのものに着目しちゃう。
どういう目的でどういう考えをもって開発し、どういう人にどう使って欲しいのかを、伝えたくなっちゃう。
ケンケン 考えた本人は、やっぱりそうなりますよね。
アオキ でしょ。でもそれぞれに言い分があるんだよね。だからメーカーやお店の伝え方と、デザイナーや開発者が理想とする伝え方って衝突しがちで。僕も過去に何度も衝突しちゃってた。
過去に衝突してしまった関係者の皆様
すみませんでした…
アオキ 一方で、僕自身が何かお買い物をするときって、過去製品や他社とのスペック比較、他の店舗との比較という情報は、正直ノイズでしかなくて。
どういう考えを持って開発したのかとか、そういう作り手の意図を十分に理解した上で納得して買い物したいんです。
ケンケン 僕もそうですねー。
ハルタ アシストオンだと必ず最後に開発者インタビューが書いてあって、自分たち自身がそれを読んで納得してお買い物してたから。そういう場所が、もっと増えるといいなあとは思ってましたね。
アオキ なので、自分たちが気持ちよくお買い物できるような場所が、自分たちなら作り出せるんじゃないかって思って。
そういうストアが必要な、僕たちのような人のためのストアとして、運営してます。
ケンケン なるほどー、ではもうひとつ質問です。
先日から、DRAW A LINE シリーズをTENTのStoreで取り扱いはじめたわけですけど。なぜこのタイミングなんですか?
ハルタ 新製品というわけでもないしね、なぜ今から?って思うよね。
1つは、良い倉庫業者さんが見つかったこと。大きな在庫の保管と発送が可能になった。
2つめはやっぱり、さっき青木さんが言ってたように、デザイナーとしての伝え方がまだまだあるんじゃないかなって思ったからですね。
アオキ DRAW A LINE は「一本の線」にアクセサリーを組み合わせることで、様々な展開が可能ですよっていう製品なんです。
でも「組み合わせれば何でもできます、使い方はあなた次第」って、自分としてはちょっと購入しづらいなあと思ってて。
ハルタ メーカーとしては「自由に組み合わせできます」と言った方が可能性が広がる。そして、お店としては可能性が広がった方が、様々な提案ができるから扱いやすい。
一方で、いち個人としては「自由に組み合わせできます」に魅力は感じるものの、組み合わせを悩む時間がとれないですもんね。
アオキ そうなんですよね。「あっちもいいな、こっちもいいな、そうすると合計金額が…」と悩んでいる間に時間が経って、面倒くさくなって、買うのをやめちゃう。
ハルタ 「これがベストな組み合わせだと思います!」ってデザイナーが思うレコメンドをバシッと示してしまったほうが、納得できる人もいると思うんですよね。
アオキ 後からアクセサリーを追加することはできるので。まずはTENTがレコメンドしたいセットをシンプルに伝えるのもアリなんじゃないかなと。
ケンケン なるほどー。
アオキ デザイナーが「とくにレコメンドは無いです、どの組み合わせもご自由に」って言うのも、なんだか無責任だなとも思ってて。
昔は様々な都合があって言いづらかったのかもしれないけど、今はいろんな場所があるから、適材適所っていうやり方も成立すると思ってるんです。
組み合わせや値段を比較しじっくり検討するのが好きな人はAmazonで選ぶのも楽しいと思いますし、実物を触りたい人は実店舗で見たい。それぞれのお店らしい提案もあるかもしれない。
その上で、デザイナーの考えを理解して、レコメンドを知りたいと言う人には、ウチのストアがその役割を果たせるんじゃないかなって思って。
ハルタ 買い物する場所にも様々な選択肢があったほうが、世の中面白くなると思うので。その1つの場所になればいいなと思います。
アオキ デザインとか開発界隈の言葉で「プロトタイピング」ってあるじゃないですか。ざっくり言うと「あらかじめ決め込まずに、ラフに試してみながら試行錯誤する」というやり方なんですけど
ケンケン はい
アオキ 僕たちのやり方を見たメーカーとか店舗とかが「なるほど!そういう伝え方もあるのか」と参照してくれるかもしれない。そういう意味では、僕たちのストアはお店のプロトタイピングでもあるのかなと。
ハルタ おっ、上手いことまとめた。
ケンケン 実際にTENTのストアで買ってもらえると、TENTは何か得をしたりするんですか?
アオキ おお、ズバリ聞きますね。まずはもう、もちろん。
ハルタ はい、売り上げになります。ありがとうございます。
ケンケン そうですよね、ありがとうございます!
アオキ でも実は、売り上げそのものは一番の目的ではなくって。
ケンケン というと
アオキ この世界で生活している誰かが、本当に買ってくれた、使ってくれている、という実感そのものが、次に何かを作るための強いモチベーションになるんです。
ハルタ 大変さや責任感から、実際にすごく大きなフィードバックを得られますしね。
アオキ なので、もし「こんなお店が存続すると面白いな」なんて思って頂けたとしたら、何か欲しいものがあったときに買うお店の1つとして気軽に利用してもらえると嬉しいです。
ケンケン 今日はありがとうございました。
ハルタ アオキ ありがとうございました!
一本の線からはじまる、新しい暮らし。
DRAW A LINE シリーズの
・タテのテンションロッド
・小さなフック2個
・木のテーブル1個
を使った、これだけあれば必要十分な
ミニマルな収納です。
フックやテーブルを好きな高さに設置できるため
上着やカバンなどの場所を作ったり、
高さ方向を生かして観葉植物に、
低さを生かして、こどもグッズに。
暮らしに合わせた様々な使い方が可能です。
空間に、一本の線を引く。
ただそれだけで、空間が引き締まり、
高さを生かしたインテリア空間を
気軽に作ることができます。
オンライン会議などの背景として
空間づくりもできるかもしれません。
突っ張り棒の機構を採用しているため、付け外し自由。
模様がえの際の場所変更も気楽にできます。
高さ200〜275センチに対応しています。
引越しのお祝いにもオススメです。
¥14,300-(税込み)
この他に、1人使いのための最小限なクローク。
「ミニマルクローク」もございます。
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