青木 では形の話の次は、色については何かこだわりはあるのかな?
ヒゲじい もちろんある!
もくじ
1.ヒゲじいランド
2. ヒゲじいの微細な気遣い
3. 頭と体と一杯のビール
3. 頭と体と一杯のビール
ヒゲじい すでに言ったように、当時は針金や板金でできたハンドランプしかなかったから、金属色で、ゴツくて痛くてなんか暗くて、家に置きたくない雰囲気だったんだ。
青木 今でこそ、一周回って「インダストリアルな男前インテリア」なんて言われて、そういう雰囲気もアリになってきてるけど、当時はむしろ、それしか選択肢がない時代だったんだね。
ヒゲじい そうだな。だから、カラーバリエーションからくる親しみやすさというのを考慮したんだ。プラスチックなら素材自体に色をつけることが可能になるから。
青木 何をイメージしてこの色にしたの?
ヒゲじい 当時ワシはイタリアデザイン、とくにオリベッティに憧れてたんだ。
青木 ああ、オリベッティのバレンタインも、たしかに赤と黒だ!
ヒゲじい オリベッティが、業務用だったタイプライターを、暮らしを彩る楽しいものにしたように、このハンドランプも、一般家庭で楽しく使ってもらえることをイメージしたカラーバリエーションなんだ。
ヒゲじい さらに、色だけじゃなく、表面のシボにもかなりこだわったぞ。
青木 シボ。つまり、この黒い部分のマットな質感のことだよね。
ヒゲじい そう。このシボは、軍手をはめた状態でもグリップしやすくするために、プラスチックの成形の限界のシボ荒さに挑んだんだ。このシボのおかげで、多少の傷つきも目立たないようになっている。
ヒゲじい あとは、スイッチの受け部分。丸く凹んだ箇所。ここは、カチンと押し切った状態でのタッチ感を良くするために、半球状の凹み具合を粘土でいくつも確認したんだ。
ヒゲじい だからスイッチのON/OFF操作はかなり気持ち良いと思うぞ。
青木 なるほどー。聞けば聞くほど微細なこだわりが込められているね。
ところで、そもそもの話に戻っちゃうんですけど、このメーカーさんから依頼があったきっかけって?
ヒゲじい 僕が売り込みに行ったところから始まった。フリーになってから50社くらいに電話をかけまくって、そのうちの1社だな。たまたま売り込みにいったタイミングで社長がいたことからこの話が始まった。
青木 へえー!初対面の初めての仕事が、30年後も継続して販売されているってすごいことだね。
ヒゲじい 今でも販売が続いてるから、もちろん売れているということだと思うんだけど、当時で言うと、このメーカーとしては初めてグッドデザイン賞に出して受賞することができて。社長は喜んでくれたみたい。
青木 なるほどー!当時のグッドデザイン賞ってかなり敷居が高かったと聞くから、それはすごい。
ヒゲじい 発売からしばらくして、そっくりなニセモノが出回ったんだけど、グッドデザイン賞が証拠になって、なんとかなったらしい。
青木 そういう賞の使い方もあるのか。
では、当時のお話はそれくらいとして、いま現在も販売されていることや、最初に話したように様々な場所でこのランプを見かけることについては、何か思う事はありますか。
ヒゲじい そうだなあ。まあ単純に嬉しいなというのはあるんだけど、今も自分で使い続けてて使いやすいし、二十年以上使っても壊れないし。真面目に設計やデザインをしておいてよかったなあと思うよ。
青木 なるほど。ちなみに、このハンドランプをデザインした当時は、名古屋のマンションに住んでたじゃない?
(名古屋で仕事していた頃)
青木 巡り巡って今は、デザインした本人が、このランプが大活躍するような暮らしをしてるっていうのも面白いなあ。
ヒゲじい 今の暮らしは、年中工事現場に住んでるみたいなもんだからな。
(現在の暮らし)
青木 ちなみに僕は、寝室で子供に絵本を読むための照明として使ってるんだけど、子供からも「ヒゲじいランプ!」って言われててすごく人気だよ。
青木 コードが長いし(コード長さ:5m)やわらかくて曲がりやすいから、取り回しやすいのも良いね。ガードがついてて火傷とか怪我の心配がないから、安心して使えてるよ。
※とはいえ、小さなお子様のみでのご使用はおすすめしません。
ヒゲじい 一般家庭で使ってもらえるように設計したからな。
ヒゲじい まあ、当時は随分とアタマ使ったけど
ヒゲじい 今はカラダ動かしてビール飲むのが最高だわ!
そして今日もまた、ヒゲじいの古民家復活大作戦は続くのだった。
お読みいただきありがとうございました。
TENTのストアでは、このヒゲじいランプを購入できるようになりました!
市販品とは異なるしっかりした梱包箱に、ヒゲじいからのお礼状も同梱してお届けします。
工房などの作業灯としてはもちろん、ちょっと変わったインテリア照明としても、使いやすさバッチリです。
これまであまり注目されることのなかったヒゲじいの微細なこだわりを、ぜひお手にとって感じてみてください。
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