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5. 改善とイノベーションとの違い

岩崎さん
 今度は、平安伸銅さんから、改めてTENTとの出会いを通して、どういうふうに気づきとか実際の行動が変わったかを聞かせていただけますか

一紘さん 大きくかわりました。まずオフィス自体も変わりましたし、メンバーもかわって、商品もかわった。平安伸銅としても大きな転換点になったなあと思っています。

今回の変化に伴ってのポイントとして2点あるかなあと思っていまして。

1つ目は、技術スタッフとの価値観の差。展示会で、ベストバイヤーズチョイスを頂いたり、様々なお客さんからの反応で「すごくいいよねー!」ってなったんですけど、実は展示会では試作品で出展していたんです。

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これを量産するにあたって、弊社の社内スタッフとコミュニケーションが必要になってくるんですが「いいよねっ」て思って開発スタッフに見せても「いいって思わない」っていうところがありました。

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具体的にいうと、縦用のフックパーツがあるんですけど、このフックは1500円するんですね。当時の開発メンバーからしたら、うちの既存の流通に持っていっても当然売れない。ホームセンターとかそういった場所だと買わないのかもしれない。「こんなもん誰が買うんや」ってことで。

でもこれを「いいよね」「欲しいよね」と思ってくれている人がいるんだっていう。僕たちが作りたいってことを、どうやって進めるかが大きな課題だったなあと持っています。

実際には、発売直後から数千個の在庫が完売になるという結果ではあったんですが、ここの価値観の差っていうのは、基本的には埋まらないなあと、結論としては思っています。その対策としては、新しいメンバーを入れる。それで同じように共感できるメンバーで進めるっていうことが大事かなあと思います。

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それで、もう1つ大きなポイントとして、新しいイノベーティブなことをするにはトライアンドエラーをしていくっていうのが必要になります。

既存の商品っていうのは、できることが限られていまして、ほぼ完成しているんですね。樹脂の量を減らしてコストダウンしたり、生産工程がスムーズにいくなど、すでにあるものを、少し改善していくっていう方法になります。

それに対してイノベーティブなやり方っていうのは、過去の思い込みにとらわれずに、3Dプリンターで起こして耐加重試験したり、3D-CADで強度を見てみたり、1つ1つ実際に試してみるしかないんですね。

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ここで大きい転換点がありまして。既存のスタッフしかいなくて、このまま任せていたらこの商品できない。本当にプロジェクトが終わってしまう瀬戸際というときに、組織の体制、人員から変えないとできないよっていうことを、TENTさんからアドバイスいただいたりして。

1つ1つ問題が発生するたびにTENTさんが寄り添ってくれたから、ここまでこれたんだなっていうのを実感しています。
そういう意味では、大きな変化の連続があったんだなあって思いますね。

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岩崎さん
 なるほど。既存商品の改善と、イノベーションとの違いについて話があったわけですけど、それが、現在は平安伸銅の会社設備にも現れているんですよね。


TENT青木 そうです。まず、引越しした新しい施設は、入り口入ってすぐが、すごく綺麗な大きなミーティングスペースなんです。 そして


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この写真の一番奥のところですね。ガラス越しに試作室が見えるんです。ちょうどうどん屋さんで麺を打っているのが見えるみたいに。

ガラス越しから見えるその試作室の後ろに、ようやく、オフィスがあるという。つまり、会社の中心に試作室があるんです。こういう会社ってなかなかないと思うんですよね。これ、僕はすごく感動したんですけど。

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香予子さん これも実は、TENTさんの影響なんです。新しいものを作るっていうのは、試作をいっぱいして、いっぱい失敗をして、そこからいいものが凝縮されていくんだよって、そういうことをしないと新しいものが生まれないんだよってことをすごい勉強させてもらって。

ちょうど事務所移転のタイミングとTENTさんとの出会いが重なっていたので、私たちはもっともっと、自分の手を動かして検討をするっていう習慣を身につけようっていうふうに考えを変えたんですね。

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こういった流れから、昔から在籍する技術スタッフと、新しく入ったデザイナーとが協力しながら進めて行くっていう、お互いリスペクトしながら進んで行くというチーム体制ができました。スケッチをして考えるのはもちろん、3Dプリンターで出力して検討するなどの環境が整って。

今回のDRAW A LINEの製品開発をしたことによって、結果的に良い刺激を受けて社内体制が変わったなあっていうのを感じています。

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岩崎さん ここまでが、これまでの話だと思うのですけど、これから、このブランドは、そして会社はどうなっていくのか。話せる範囲でお伺いできますか。

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